5年ルールと125%ルールの実際の効き方
変動金利型の住宅ローンは、多くの銀行で年2回、金利が見直されます。一般的なのは4月1日と10月1日を基準日とし、それぞれ6月・12月の返済分から新しい金利が適用される取り扱いです。上のシミュレーターで「半年ごと」を選ぶと、この実際の改定サイクルに近い形になります。
ただし、金利が変わってもすぐに毎月の返済額が変わるわけではありません。多くの金融機関が採用しているのが次の2つの取り扱いです。
5年ルール
金利が変動しても、毎月の返済額は5年間据え置かれます。変わるのは返済額そのものではなく、その内訳です。金利が上がれば利息に回る金額が増え、同じ返済額から元金へ充当される分が減ります。半年ごとに0.25%ずつ上がるような静かな上昇では、返済額はまったく動かないまま、5年で元金の減り方だけが大きく後退します。通帳を見ているだけでは気づけません。
125%ルール
5年ごとの見直しで返済額が改定されるとき、新しい返済額は直前の返済額の125%が上限になります。月10万円だった人が、本来なら14万円必要な状況になっても、請求されるのは12万5,000円まで。
125%を超える分は消えるのではなく、返しきれなかった元金として後ろへ送られます。最終回にまとまった残債が残る形で精算を求められるのが一般的な取り扱いです。据え置きは救済ではなく、支払いの先送りと考えるのが正確です。
すべての銀行にあるわけではない
ネット銀行を中心に、この2つのルールを採用せず、金利変更のたびに返済額を即座に見直す商品もあります。この場合、返済額は上がりますが未払利息は発生せず、元金の減り方は予定どおりに保たれます。どちらが有利かは一概に言えず、家計の耐性の問題です。上のシミュレーターでは、チェックを外すことで「ルールなし」の挙動も比較できます。
自分の借入がどちらの取り扱いかは、金銭消費貸借契約書または銀行の商品説明書に記載があります。「返済額の見直し」「元利金の増額の限度」といった見出しを探してください。
5年ルールを採用していない銀行を選ぶという考え方
返済額が即時に上がる代わりに、未払利息が発生せず元金が確実に減っていく。金利上昇局面ではこちらを選ぶ人もいます。各行の取り扱いと適用金利を比較できます。
未払利息 ── 返済額より利息が大きくなるとき
金利上昇が大きいと、据え置かれた返済額をその月の利息が上回ることがあります。このとき元金への充当はゼロになり、支払いきれなかった利息が未払利息として積み上がります。残高が1円も減らないまま、返済だけが続く状態です。
発生しやすいのは次の条件が重なったときです。
- 当初金利が極めて低い水準(0.3〜0.5%台)で借りている
- 借入から間もない、残高が大きい時期
- 短期間に2%以上の金利上昇が起きる
逆に言えば、返済が進んで残高が減っていれば、同じ金利上昇でも未払利息には至りにくくなります。上のシミュレーターは、この発生有無と累積額を月次で判定し、該当する年をグラフ上で網掛け表示します。
固定金利に替えるべきかどうか
変動と固定の比較でよくある誤解は、「総返済額が安いほうを選べばいい」というものです。これは違います。変動金利の総返済額は、あくまで想定した金利シナリオ次第で動く数字だからです。どのシナリオを置くかで、いくらでも結論を変えられます。
固定金利は保険と同じ構造をしています。平常時に少し多く払う代わりに、金利上昇という事故が起きたときの損失を確定させる商品です。したがって判断すべきは総額の大小ではなく、次の点です。
- 払える上限はいくらか。上の「毎月のピーク」が、その上限を超えていないか。
- その差額を保険料として妥当と感じるか。比較表の「変動との差」を、35年で割って月額に直してみてください。月に数千円で金利変動リスクを消せるなら、安いと感じる人もいます。
- いつまで借りているか。残期間が短いほど、金利上昇の影響は小さくなります。残り10年を切っているなら、変動のまま走り切る判断も合理的です。
当初固定期間が終わったあと、多くの商品では金利引き下げ幅が縮小します。当初は大きな優遇があっても、11年目からは店頭金利からの引き下げが小さくなり、そのときの変動金利より高くなることがあります。上の比較表で「固定期間が終わった後の金利」を厳しめに入れて確認してください。
試算するときに見るべき数字
- 返済額のピーク:家計が耐えられる上限を超えていないか。5年ルールは、その到来を先送りするだけです。
- 10年後の残高:金利上昇シナリオでは、元金の減りが想定より遅れます。売却や住み替えを考えるなら、残高と担保価値の差が問題になります。
- 最終回の精算額:125%ルールで繰り延べられた分が、最後にどれだけ残るか。
月利は年利の12分の1として計算しています。実際の金融機関では日割り計算(365日基準など)を採用している場合があり、数百円から数千円程度の差が出ます。また金利見直しの適用時期、端数処理、保証料や団信の扱いは金融機関ごとに異なります。正確な数字は必ず借入先の返済予定表でご確認ください。本サイトの計算結果は情報提供のみを目的としたもので、特定の金融商品の推奨ではありません。